日銀は2025年1月24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利とする短期金利(無担保コール翌日物レート)を0.25%から0.5%に引き上げると決めました。
この決定を受け、銀行各社は住宅ローン変動金利の基準金利を続々と引き上げることを発表しています。
この記事では、住宅ローン金利引き上げの家計への影響と対策について、お伝えしたいと思います。
執筆者について
私は約10年間、地方銀行にて住宅ローン業務、資産運用業務に従事してます。
FP1級、簿記1級などを取得しており、専門的で正確な情報を分かりやすく届けることを意識しています。
家計への影響
三菱UFJ銀行(以下、同行と言います。)を例に挙げて解説します。
同行は、2025年1月24日に、短期プライムレートを0.25%引き上げ、それに伴い、変動金利の基準金利を見直すことを発表しています。
前回の金利見直しでは、2024年7月31日に短期プライムレートが0.15%引き上げられ、同年10月1日に住宅ローン変動金利の基準金利が0.15%引き上げられました。
住宅ローン変動金利の基準金利は短期プライムレートに連動するので、2025年4月1日に0.25%上昇すると思われます。
2回の見直しで合計0.4%引き上げになる可能性がありますが、残期間が30年で、金利が0.4%から0.8%になる場合の、住宅ローン残高別の引き上げ前後の返済額を調べてみました。
住宅ローン残高 | (前)返済額 | (後)返済額 | 増加額 |
---|---|---|---|
3000万円 | 88,447円 | 93,760円 | 5,313円 |
4000万円 | 117,929円 | 125,014円 | 7,085円 |
5000万円 | 147,411円 | 156,267円 | 8,856円 |
ちなみに、変動金利を適用している住宅ローンの多くは、返済額は5年毎に見直されるという5年ルールと、見直される返済額は見直し前の返済額の125%以内になるという125%ルールがあるので、直ちに返済額への影響がない人も多くいますが、これは将来への負担の繰り延べなので、負担額が増えるものとして考えることをお勧めします。
今後の見通し
今後の住宅ローン変動金利はどうなるのでしょうか?
私は、今後も、住宅ローン変動金利は引き上げになると思っています。
理由は、住宅ローン変動金利は日銀の短期金利の影響を受けますが、日銀の植田総裁は中立金利(景気や物価に対して、緩和的でも引き締め的でもない水準)までに距離があると述べており、今後も半年に1回程度のペースで引き上げが行われる見通しであるためです。

それでは、もともと0.4%の金利であった人が、今回までの引き上げ(0.4%見込み)に加えて、追加で0.5%引き上げとなり、1.3%の金利となった場合(残期間は30年)の返済額をみてみましょう。
住宅ローン残高 | (前)返済額 | (後)返済額 | 増加額 |
---|---|---|---|
3000万円 | 88,447円 | 100,681円 | 12,234円 |
4000万円 | 117,929円 | 134,241円 | 16,312円 |
5000万円 | 147,411円 | 167,802円 | 20,391円 |
ここまで返済額が増えると、家計への影響は大きいですよね💦
実際に返済額が増えてからの対応だと後手に回ってしまうので、早めに対策をしたほうがよいです。
今後の対策
住宅ローン変動金利の引き上げによる、家計への影響は大きなものとなりますので、ファイナンシャル・プランニングの見直しをを実施することをお勧めします。
人生の夢や目標を確認する
まずはファイナンシャル・プランニングの基本となる人生の夢や目標について、確認しましょう。
資金計画の見直し
返済額が増加しても、暮らしを維持できるのか、人生の夢や計画を実現できるのかという観点で確認します。
もし難しくなるようでしたら、どれくらいの収支改善が必要になるか計算します。
収支の見直し
収支の見直しの対策としては、以下のようなものがあります。
- 転職による収入増
- 資産運用による収入増(NISA、iDeCoの活用)
- スマホ見直しによる支出減
- 保険見直しによる支出減
- 支出イベント(車購入等)見直しによる支出減
- 住宅ローンの繰り上げ返済による支出減
※なお、私は住宅ローン変動金利引き上げ後も実質金利はマイナス水準であるため、私は安易に繰り上げ返済することをあまりお勧めしてないです。
今後、対策の詳細についても、説明していきたいと思います。
まとめ
この記事では住宅ローン金利引き上げの家計への影響と今後の見通し、対策について、解説しました。
今後は対策の詳細などについて解説したいと思います。
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